明窓・ブーメラン フジテレビ問題 | 山陰中央新報デジタル

記者会見する細田博之衆院議長(中央)=2023年10月13日、衆院議長公邸

過去に取材した印象的な記者会見の一つに、2023年10月の細田博之衆院議長(当時)の辞任表明がある。辞任理由などを初めて公の場で説明する機会だったが、会見時間と取材できるメディアが限られた。当方は申し入れの末に何とか参加を認められた▼会見は当初予定を20分間延長して50分間に及んだが、質問はやまず打ち切りに。「(質問の)挙手がある間は続けてほしい」と報道陣が詰め寄る中、細田氏は会見場を後にした▼中居正広さんを巡る問題で、フジテレビが17日の記者会見で参加メディアを制限し、中継や動画撮影も拒否したのを見て、当時を思い出した。細田氏の会見は記者クラブの要望を受け、全ての映像、写真撮影を認めており、閉鎖性はそれ以上かもしれない。その影響は大きく、同局のCMを差し替える動きが相次ぐ▼取材現場は複雑な思いを抱えているようだ。知り合いの同局社員は「モチベーションが下がっている部署もある」と漏らす。報道機関にもかかわらず疑惑を追及される側に立つと、こうも矛盾するのかと首をかしげる▼相手への批判は、立場が変わって自らも同じような言動をした時、ブーメランのようにはね返ってくる。党内野党が長かった石破茂首相や民主党政権を経験した野党の国会議員にも当てはまる。批判は責任が伴い、過去との矛盾は丁寧な説明が必要だ。もちろんマスコミも同じ。肝に銘じたい。(吏)

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